南麓なんろく)” の例文
彼等は数時間の後には八ヶ岳の南麓なんろくを通過し、彼の妻のいる療養所の赤い屋根を車窓から見ようとおもえば見ることも出来るのだ。……
菜穂子 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
にもかかわらず、この時すでに、南麓なんろくの広瀬方面を突破して来た秀吉の諸勢は、先を争って、山へ取ッついていた。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
富士山の南麓なんろく地方には、これをまたウマノゴック、あるいはウマノオコワ(馬の強飯こわめし)という名もある。ゴックは御供ごくうで神に供える飯、即ちまた強飯のことだという。
そこから虚空蔵(山)の南麓なんろくをまわり、白石川を渡って、沼辺村の山へはいるのが例であった。
彼は実に天保元年八月四日を以て、萩城の東郊松下村護国山の南麓なんろくに生る。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)