十姉妹じゅうしまつ)” の例文
うぐいす山雀やまがら、目白、文鳥、十姉妹じゅうしまつなどの籠の上に載っていたウソをその時はじめて詳しく観察した。さっきの声はそのウソの鳴音だったのである。
木彫ウソを作った時 (新字新仮名) / 高村光太郎(著)
千種十次郎が斯う言った時は、二人は日比谷公園のロハ台の上へ、二羽の十姉妹じゅうしまつのように押し並んで居りました。
女記者の役割 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
この頃家に十姉妹じゅうしまつを飼うようになってから、その小さな目を見るたびに、いつでも私はあの時のことを想い出す。ちょうどこの目をして七葉樹上の彼等も、また私を見たのであった。
「おい、お前は反対やそうなが、こうなったら背に腹は換えられんさかい、どうせ、肥代にも足らん金や、繭の金で小鳥飼おうと思うのや、今、流行ってる十姉妹じゅうしまつな、あれにめたんや」
十姉妹 (新字新仮名) / 山本勝治(著)
また数日たって後の雪のふる日、ある婦人がその飼っていた十姉妹じゅうしまつの四羽とも一度に死にかかったのを手のひらへのせて一生懸命火鉢ひばちで暖めていた。見ると、もう全く冷たくなってしまっている。
Liber Studiorum (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
紅雀や十姉妹じゅうしまつが彼の姿に向って羽搏いた。じっと眺めていたが
伸子 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)