北上川きたかみがわ)” の例文
雨降りの中では草鞋わらじか靴ででもないと上下じょうげむずかしかろう——其処そこ通抜とおりぬけて、北上川きたかみがわ衣河ころもがわ、名にしおう、高館たかだちあとを望む
七宝の柱 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北上川きたかみがわ沿岸の平野には稲が一面に実って、もう刈入れるばかりになっているように見える。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
この地へ行くには花巻はなまきの停車場にて汽車をり、北上川きたかみがわを渡り、その川の支流さる石川いしがわたにつたいて、東の方へ入ること十三里、遠野の町に至る。山奥には珍しき繁華の地なり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
稲舟いなぶねって好い名だな。錦子さんでも好いけれど、最上川もがみがわがそばなのでしょう。みちのくというと、最上川だの、名取川だの、衣川ころもがわだの、北上川きたかみがわだのって、なつかしい川の名が多い。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)