動揺どよめ)” の例文
旧字:動搖
一斉いっとき動揺どよめいて、都大路を八方へあふれる時、揚出しの鍋は百人の湯気を立て、隣近となりぢかな汁粉屋、その氷月の小座敷には、閨秀二人が、雪も消えて、衣紋えもんも、つまも、春の色にややけたであろう。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
幽霊などと動揺どよめきしがようやくに静まりて、彼方あなたへ連れ行き介抱せんと、いざない行きしを聞澄まし、縁の下よりぬっと出で蚊を払いつつ渋面つくり、下枝ならむには一大事、とくと見届けてせむ様あり
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)