前庭まえにわ)” の例文
その年取った方は、前庭まえにわの乾いた土にむしろを敷いて、うしろむきに機台はただいに腰かけたが、トンと足をあげると、ゆるくキリキリと鳴ったのである。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それから、まんなかがいくらか灰色の黒ずんだ四角もありました。それは黒くなったわらぶき屋根やねのある大きな百姓家ひゃくしょうやで、前庭まえにわには石がしいてあるのです。
せま前庭まえにわに敷いた石に、しっとりと打ち水がしてあって、れた石のいろが、かえってわびしかった。
山県有朋の靴 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)