刺違さしちが)” の例文
代りて酌する彼の想は、吾手わがて男の胸元むなもと刺違さしちがふるきつさきを押当つるにも似たる苦しさに、おのづから洩出もれいづる声も打震ひて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
ああ、皆自分が悪かったので、人を怨んでは済まないが、私は今でも此男に逢うと、何とも言えぬ厭な心持になる。儘になるなら刺違さしちがえて死で了いたく思う事もある。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
一、要諫ようかん一条に付き、事遂げざるときは鯖江侯と刺違さしちがえて死し、警衛の者要蔽する時は打払うべきとの事、実に吾がいわざる所なり。しかるに三奉行いて書載して誣服ふふくせしめんと欲す。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
私と刺違さしちがえるつもりで、あんな事をしたに違いないと思います。
衝突心理 (新字新仮名) / 夢野久作(著)