制肘せいちゅう)” の例文
せめて氏直氏規の二人に、七八十万石をやって、関東に北条家を立てさせた方が家康を制肘せいちゅうする役に立ったのではあるまいかと思う。
小田原陣 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
が、この何者にも制肘せいちゅうされない放縦な駄々ッ子的気分が当時の文学好きの青年の共鳴をくに十分力があった。
お互い同士制肘せいちゅうを受けるわけじゃありませんか! それなら、いっそ首をくくった方がましなくらいだ! しかも、やつらは両替することもできなかったんですからね。
単なる政治家として安定した地位を求めようとしなかった中野には改革運動者としての尖鋭な感情が常に彼の政治行動を支配もすれば制肘せいちゅうもしていたといえるかも知れぬ。
杣夫や村人を制肘せいちゅうし、湛慶滝の方へ近寄せまいとするので、それで一層杣夫や村人が、湛慶滝と紅毛人とを、恐ろしいものに値うちづけ、いろいろ取り沙汰をするのであると。
剣侠受難 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
労力の内容も方向も乃至ないし順序も悉くから制肘せいちゅうされる以上は、その労力は堕落の労力だ
それから (新字新仮名) / 夏目漱石(著)