切棄きりす)” の例文
残念ながらふるい。切棄きりすてても思想は皦々きょうきょうたり。白日の下に駒をせて、政治は馬上提灯の覚束おぼつかないあかりにほくほく瘠馬やせうまを歩ませて行くというのが古来の通則である。
謀叛論(草稿) (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
家には火を掛け、くみせぬものは切棄きりすてゝつと云ふのだらう。しかしあの物音のするのは奥から書斎の辺だ。まだ旧塾もある。講堂もある。こゝまで来るには少しひまがある。まあ、聞きたまへ。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)