切地きれじ)” の例文
手回しのいいこの和尚はすでに旅の守り袋を用意したと言って、青地のにしき切地きれじで造ったものをそこへ取り出して見せた。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
此度、三人の切地きれじ、さや形ちりめん六尺遣申候。一、二、三。印付け可遣候、折角内密之取計い専一に存申候
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
健三はやっと気が付いたように、細君のひざの上に置かれた大きな模様のある切地きれじを眺めた。
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
時節もので、めりやすの襯衣しゃつ、めちゃめちゃの大安売、ふらんねる切地きれじの見切物、浜から輸出品の羽二重はぶたえ手巾ハンケチ棄直段すてねだんというのもあり、外套がいとう、まんと、古洋服、どれも一式の店さえ八九ヶ所。
露肆 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)