刃物三昧はものざんまい)” の例文
理不尽りふじん阿魔女あまっちょが女房のいる所へどか/\へいって来て話なんぞをしやアがって、もし刃物三昧はものざんまいでもする了簡りょうけんなら私はたゞは置かないよ
何か言えば刃物三昧はものざんまいでもしかねない勢いであったからがんりきも全く閉口して、当分、外出もできないことになってしまいました。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
東京に於いて女房に直せと云つて一度あつた如きかの女からの刃物三昧はものざんまいも、もう、今ではそんな恐れの必要がなかつた。
泡鳴五部作:05 憑き物 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
良人との衝突も度重たびかさなって洋燈らんぷを投げつけるやら刃物三昧はものざんまいなどまでがもちあがった。とうとう無事に納まらなくなってしまった。その間に彼女は卒業した。
松井須磨子 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
おじいさんだって、そうさ、あれで、もう少し気が強かろうものなら、すぐにお前さんと刃物三昧はものざんまいだわね。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
彼女は本当に情にせまって刃物三昧はものざんまいをする気なのだろうか、または病気の発作に自己の意志を捧げべく余儀なくされた結果、無我夢中で切れものをもてあそぶのだろうか
道草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
血気の少年はさて置き分別盛ふんべつざかりの男が刃物三昧はものざんまい無理心中なぞに至つては思案のほかにして沙汰のかぎりなり。およそ森羅万象一つとして常住なるはなし。時に昼夜あり節に寒暖あるは自然の変化なり。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
刃物三昧はものざんまいはあぶねえから、止しねえ、止しねえ。
勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
さっき、向こうのつじで、太郎さんに会った時にも、わたしはよくそう言って来たけれどね、そうなりゃ、わたしたちの仲間だもの、すぐに刃物三昧はものざんまいだろうじゃないか。
偸盗 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)