刀自トジ)” の例文
家庭の主婦が、居まはりの人を促したてゝ、自身も精励してするやうな為事は、あて人の家では、刀自トジ等の受け持ちであつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
父君に我は愛子マナゴぞ。母刀自トジに我は寵子メヅコぞ。参上マヰノボる八十氏人の 手向タムけするカシコサカに、ヌサマツり、我はぞ退マカる。遠き土佐路を
相聞の発達 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
又処置方について伺うた横佩墻内の家の長老トネ刀自トジたちへは、ひたすら、汝等の主の郎女を護つて居れ、と言ふやうな、抽象風なことを、答へて来たりした。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
あも刀自トジも 玉にもがもや。戴きて、みづらの中に、あへ巻かまくも(四三七七)
其お方がお死にのキハに、深く/\思ひこまれた一人のお人がおざりまする。耳面ミヽモ刀自トジと申す、大織冠のお娘御でおざります。前から深くお思ひになつて居た、と云ふでもありません。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
家の刀自トジたちが、物語る口癖を、さつきから思ひ出して居た。出雲宿禰イヅモノスクネの分れの家の嬢子ヲトメが、多くの男の言ひ寄るのを煩しがつて、身をよけ/\して、何時イツか、山の林の中に分け入つた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
家の刀自トジたちが、物語る口癖を、さつきから思ひ出して居た。出雲宿禰の分れの家の孃子ヲトメが、多くの男の言ひ寄るのを煩しがつて、身をよけよけして、何時か、山の林の中に分け入つた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫釈迢空(著)
家の刀自トジたちが、物語る口癖を、さつきから思ひ出して居た。出雲宿禰の分れの家の孃子ヲトメが、多くの男の言ひ寄るのを煩しがつて、身をよけ/\して、何時か、山の林の中に分け入つた。
死者の書 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
それで、主婦・刀自トジを意味する「お方」を以て呼んでゐるのであらう。