出来でく)” の例文
旧字:出來
父はじろりと母を見てからからと笑いながら「なあ難波君、学問の出来でく細君おくさんは持つもんじゃごわはん、いやさんざんな目にあわされますぞ、あはははは」
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
町人や百姓と伍して食物をあさり合わねばならぬ、犬猫同然の国民平等の世界に、一日でも我慢が出来でくるか……とか何とか云って鼻の頭をコスリ上げている。
近世快人伝 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そしたら、今日、この悲しい、はかない事に出来でくわしました。私はこれも運命と存じて居ります。
錦木 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
われらが作る所の歌はもとより歌の一部分と見てもよろしく、半部分と見てもよろしく、これらの外に万葉調の歌にて善き者も出来でくべく、古今調の歌にて善き者も出来べく、た古人の調にもあらず
人々に答ふ (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
おまえにうつる、子供が出来でくる、子供にうつる、浪ばかいじゃない、大事な主人のおまえも、の、大事な家嫡あととりの子供も、肺病持ちなッて、死んでしもうて見なさい、川島家はつぶれじゃなッかい。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)