出来いでく)” の例文
旧字:出來
華御座はなござは届申候哉。これは山南さんなと申処にて出来いでく。神辺をさること五里。(日本里程。)かの方にしる人有之、宜くたのむと申遣し候。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
夫はして雅之の私書偽造をおのれの陥れしたくみなりとは彼に告げざれば、悪はまさしく狂女の子に在りて、此方こなたに恨を受くべき筋は無く、おのづからかかる事も出来いでくるは家業の上の勝負にて
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
さばかり人にあやしまるれど、彼は今日のみこの町に姿をあらはしたるにあらず、折々散歩すらんやうに出来いでくることあれど、箇様かようの酔態を認むるは、兼て注目せる派出所の巡査もめづらしと思へるなり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)