出来損できそこ)” の例文
ゴンチャローフの真似をして出来損できそこなったとは二葉亭がく人に話した謙遜のような自得のような追懐であった。
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
「その椎茸しいたけみたような頭が気に入らねえんだ、尾上岩藤の出来損できそこねえみたようなのが癪に触ってたまらねえんだ」
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
日本の科学は木村博士一人の科学で、他の物理学者、数学者、化学者、乃至ないし動植物学者に至っては、単位をすら充たす事の出来ない出来損できそこないでなければならない。
学者と名誉 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
正直にいったら『浮雲』も『其面影』も『平凡』も皆未完成の出来損できそこないである。あの三作で文人としての名を残すのは仮令たとい文人たるをいさぎよしとしなくてもまた遺憾であったろう。
二葉亭追録 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
おれも真似をしてしるを飲んでみたがまずいもんだ。口取くちとり蒲鉾かまぼこはついてるが、どす黒くて竹輪の出来損できそこないである。刺身さしみも並んでるが、厚くってまぐろの切り身を生で食うと同じ事だ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)