)” の例文
両頬は深く落ちけて、眼は窪み、頬骨ほゝぼねばかりがいやが上に高く、常には外して居る総入歯を、御飯の時などにめて、入歯をして居る者がよくする様に
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
歯が上下ともすつかり抜けて両頬が深い穴の様に落ちけ、皮膚のたるんだ脂肪気あぶらけの抜けた黒味がかつた顔に、二つの大きな眼をぎろ/\させて居る形相ぎやうさうは恐しかつた。
世の中へ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)
界の襖に青のしやすかしが入つてゐて、それを透してその場の光景もおぼろげに窺はれたが、病褥の上で大儀さうに脇息に支へてゐた痩せた上体を前に乗り出して、頬のけた、色沢の悪るい
乳の匂ひ (新字旧仮名) / 加能作次郎(著)