兼行けんこう)” の例文
孜々営々ししえいえいである。昼夜兼行けんこうである。そしてこの割普請ぶしん制の汗の下に、磐石ばんじゃくも巨木も、思うままに動かされていた。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
兼行けんこう法師なんか『徒然草』にいっておりますが、よき人の住まった家は後から見て非常によいとか、あるいはそのほか、人の家の庭に、石の沢山あるのは見にくいとか
よい書とうまい書 (新字新仮名) / 北大路魯山人(著)
補強工事の令が発され、兵は昼夜兼行けんこうで働いた。そんな或る日、飛来ひらいした米機をめずらしくも味方の高射砲が射落し、飛行士は夕暮の空に白い花を開かせたように落下傘らっかさんで降りて来た。
日の果て (新字新仮名) / 梅崎春生(著)
けれど才蔵は、これから安土あづちへ昼夜兼行けんこうでかえろうとしているからだ、裾野におけるちくいちの仔細しさいは、まず第一に、秀吉ひでよしへ復命すべきところなので、多くを語るはずがない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)