八丈島はちじょうじま)” の例文
島では鹿児島県の宝島と種子島たねがしま、東京府下では八丈島はちじょうじま、日本海では佐渡島さどがしま外側の海府かいふ地方と、羽後うご飛島とびしまとに同じ語が行われている。
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
手近なところから岸へあげて、どこかへ逃がしてしまったのだろうが、身替りになった七人をそのまま八丈島はちじょうじままでつれて行かれては大きに不都合ふつごう
顎十郎捕物帳:13 遠島船 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
やがて談話はなしはそれからそれへと移って遂には英一蝶はなぶさいっちょう八丈島はちじょうじまへ流された元禄の昔にまでさかのぼってしまったが
散柳窓夕栄 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
サクユリは、伊豆七島いずしちとうにおける八丈島はちじょうじまの南にある小島青ヶ島の原産で、日本のユリ中、最も巨大なものである。花は純白で香気こうき強く、実にみごとなユリで、この属中の王様である。
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
和蘭船おらんだぶねの帆の張り方を知って、どんな逆の風でも船を走らして、出没自在の海賊の棟梁とうりょう、なんでも八丈島はちじょうじま沖の無人島で、黒船と取引もしていたッてえ、あ、あ、あの松五郎の娘……あの松五郎の娘が
悪因縁の怨 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
中部では八丈島はちじょうじまと、北は北海道の前からの住民とのあいだに、負紐おいひもひたいにあてて背負うものがあって、これも女の運搬に多く行われている。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
伊豆いず八丈島はちじょうじまなどでは、屋根葺きおわりの日の祝宴をニイトメ祝いといっているが、これがいとめであることはもう気づかぬ人が多くなった。
母の手毬歌 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
あるいは八丈島はちじょうじまの人の始めが彼らではなかったろうかとか、いう類の雑説が色々と発生しているけれども、それはいずれもあちらの記録を読んでから後に
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)