入違いりちが)” の例文
此方こちら入違いりちがって祖五郎の跡を追掛おいかけて、姉のお竹が忠平を連れてまいるという、行違ゆきちがいに相成り、お竹が大難だいなんに出合いまするお話に移ります。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
つかまえて聞くと、今朝殆ど私と入違いりちがいに尋ねて来たのだそうで、何でもお神さんの身寄だとかで、車で手荷物なぞも持って来たから、地方の人らしいと云う。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
これより以前さき得三が人形室を走り出でて声する者を追いける時、室の外より得三と入違いりちがいに、鳥のごとくに飛び込む者あり。突然下枝の被を外してこれを人形に被らせつ。その身は日蔽ひおおいの影に潜みぬ。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)