兇行きょうこう)” の例文
だが、この前のF鉱山事件といい、この間の松洞しょうどう事件といい、某大国や警視庁は、あの兇行きょうこうを君がやったことはよく知っているのだぜ。
人造人間殺害事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つまり奥さんと同じ様に、兇行きょうこうの目撃者なんですがな。——いや、それにいて若し貴方がなんでしたなら、その男を
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
闇黒あんこくにまぎれて静かに立ち去ったのだろうが、現場はバアナア街社会党支部の窓の直下で、兇行きょうこう時刻には、支部には三、四十人の党員が集っていたにもかかわらず
女肉を料理する男 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
山鹿はあの草叢くさむらの中に浴衣や釣竿を隠して置いたんだ、そして計画通り兇行きょうこうを演じると、ぐさま——そら、ういう風に、白シャツと白パンツの上に浴衣を着て
鱗粉 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
「何か兇行きょうこうをするに就て、最近の動機ともなったような事件がありましたでしょうか。」
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
兇行きょうこうの現場でドアのかげに隠れていたとき、外からドアをたたいたり押したりして呼鈴をがらがら鳴らしたりした——その時の苦痛だけでは足りないで、その後また半ば熱に浮かされながら
見るもむごたらしい兇行きょうこうを受けたものだから、私は非常におどろきもしたし、一体誰にやられたのかと、普段から知っている誰彼の顔をあれやこれやと思いめぐらした。
ゴールデン・バット事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この場合僕は、あの兇行きょうこうをハッキリと意識して夫人はあんな奇矯な男装をしたのだと考えたくない。
花束の虫 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
おそらく犯人は、そういう事情をのみこんでいて兇行きょうこうしたのであろうと、秋吉警部は考えた。
少年探偵長 (新字新仮名) / 海野十三(著)
そしてあの兇行きょうこうを演じたのです。小さいパイプの中を抜けることは、その手足を一時バラバラに外し、一旦向う側へ抜けた上、また元のように組立てれば、苦もなく出来ることです。
俘囚 (新字新仮名) / 海野十三(著)