兇徒きょうと)” の例文
兇徒きょうとあり、白刃をふるいて背後うしろより渠を刺さんか、巡査はその呼吸いきの根の留まらんまでは、背後うしろに人あるということに、思いいたることはなかるべし。
夜行巡査 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
人殺しをしたある兇徒きょうとめかけが、ここにいたことがあるという話が、近所の人の口から、お銀の耳へじきに入った。
(新字新仮名) / 徳田秋声(著)
先刻さき兇徒きょうと手籠てごめに逢いしは、黄昏たそがれの頃なりき。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)