僣越せんえつ)” の例文
遺伝、境遇、偶然、——我我の運命を司るものは畢竟ひっきょうこの三者である。自ら喜ぶものは喜んでも善い。しかし他を云々するのは僣越せんえつである。
侏儒の言葉 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
ついでながら、自分のような門外漢がこの講座のこの特殊項目に筆を染めるという僣越せんえつをあえてするに至った因縁について一言しておきたいと思う。
映画芸術 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
殊更ことさらつとめて他人たにん教化けうくわせんとするが如きはこれを為す者の僣越せんえつしめし、無智無謀むちむぼうしようす、る大陽はつとめてかゞやかざるを、ほしは吾人の教化けうくわはかつひかりはなたず、からざるをざればひかるなり
問答二三 (新字旧仮名) / 内村鑑三(著)
これについてははなはだ僣越せんえつながらこの際一般工学者の謙虚な反省を促したいと思う次第である。
天災と国防 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)