傾城町けいせいまち)” の例文
「それからな、あの島原という傾城町けいせいまちに一年一度の太夫道中がありますで、これがまた、大した見物みものでございます」
委細を使いの者から聞くと、取る物も取りあえず、御影みかげを立って、途中大坂の傾城町けいせいまちで旅支度や酒をととのえ、夜をおかして、駈けつけてまいったのですぞ。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もの言う声もなまめかしく傾城町けいせいまちの風情がある。
浮舟 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「比丘尼ってえな、近頃、鼠色におしろいを塗って、傾城町けいせいまちより安く遊ばせるという、あれとは違うのか」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
これからは田圃たんぼ——五六丁を隔ててその田圃の中に一かく、島原傾城町けいせいまちの歓楽のは赤く燃えております。
島原傾城町けいせいまちの夜は盛んなる眩惑げんわくを以て兵馬の眼の前に展開される。
たずさえている提燈ちょうちんには、大坂の傾城町けいせいまちでつかう太夫紋がついている。
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)