側近そばちか)” の例文
「ありがたい」と、いってもいってもいい足りないような感謝の声をくりかえして、人々は、姫の側近そばちかくに集まった。覚明は牛の手綱を渡して
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
長十郎はまだ弱輩で何一つきわだった功績もなかったが、忠利は始終目をかけて側近そばちかく使っていた。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
見られ澘々はら/\落涙らくるゐせられ此方はよき家來を持て滿悦まんえつに思ふなり三人の忠節ちうせつ心體見えて忝けなし去りながら我深き存意も有ればひそかに申聞すべし近ふ/\と三人を側近そばちかくこそ進ませたり
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
側近そばちかよびて申樣汝に遺言ゆゐごんする事あり明朝は忠右衞門も予と共に切腹せつぷく致せば予がなきあとは三日をまたず其方ならびに次右衞門三五郎はたう御役宅おやくたくへ奉公すべし必らず忠臣ちうしん二君につかへずとの聖言せいげん
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
忠利の許しを得て殉死した十八人のほかに、阿部弥一右衛門通信みちのぶというものがあった。初めは明石氏あかしうじで、幼名を猪之助いのすけといった。はやくから忠利の側近そばちかく仕えて、千百石余の身分になっている。
阿部一族 (新字新仮名) / 森鴎外(著)