停止とま)” の例文
力を極めて漕ぐ櫂につれて、水沫すいまつがサッと翻えるのが、黎明の光に光って見える。見る見る短艇は近寄って来た。やがて窓の下で停止とまった。
死の航海 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
轟然ごうぜんと飛ぶが如くに駆来かけきたッた二台の腕車くるまがピッタリと停止とまる。車を下りる男女三人の者はお馴染なじみの昇とお勢母子おやこの者で。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
車がまだ全く停止とまりきらないうちに、彼は歩廓に飛下りて、いち早く改札口に向かったが、彼の乗った車輛は最後車の次であった為に、改札口を出たときは、既に一団ひとかたまりの人々が構外へ吐出されていた。
緑衣の女 (新字新仮名) / 松本泰(著)