保護者パトロン)” の例文
然しながらそれはいずれの時代を問はず常に真の芸術家に伴つてゐたことなのである。かのミケルアンヂエロすら保護者パトロンに依立してゐた。
少数と多数 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
若い詩人仲間の保護者パトロンもつて任じ、たまには詩の一つも作ると云つた風の貴婦人もその若い仲間に取巻かれなが長閑のどかに話して居る。(一月二十三日)
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
ふだん随分、千利休の隙のないことを試してみて、感心もし、すっかり兜を脱いでいる保護者パトロンの秀吉ではありましたが、折しも、この大雪を見ると、もう一度試してみようという考えが起りました。
仏教人生読本 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
十六歳にして或る私立の中學校に這入つた。三年許りにして其保護者パトロンの死んだ後は、再び大都の中央まんなかいしころの如く投げ出されたが、兎に角非常な勞働によつて僅少の學費を得、其學校に籍だけは置いた。
雲は天才である (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
「言葉というものは、通用するということが、第一じゃありませんの。貴女は、英語の方は、おくわしいそうだからご存じでしょうが、保護者パトロンという字だって、本当に発音すれば、ペイトロンか、ペトロンでしょう。」
貞操問答 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
伯爵は彼の保護者パトロンであり、彼の兄の親友だった。
十六歳にして或る私立の中学校に這入つた。三年許りにして其保護者パトロンの死んだ後は、再び大都の中央へいしころの如く投げ出されたが、兎に角非常な労働によつて僅少の学費を得、其学校に籍だけは置いた。
雲は天才である (新字旧仮名) / 石川啄木(著)