何分なんぶん)” の例文
幾何学上に称する点や線などは大きさなきものと説いてあるが、しかし針のさきでさえも一りん何分なんぶんの一というように必ずはかり得る大きさを有するものである。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
彼が結婚後家計膨脹ぼうちょうという名義のもとに、毎月まいげつの不足を、京都にいる父から填補てんぽしてもらう事になった一面には、盆暮ぼんくれの賞与で、その何分なんぶんかを返済するという条件があった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「不承を有仰おつしやるところは少しも有りはしません、その代り何分なんぶん今日こんにちつかはし下さい」
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
おそらく人間として平均の調和をうしなえるものは、学者よりも実業家にかえって多いかと思われる。たとえていえば、人のうで身幹しんかんに比して何分なんぶんとか、たいてい一定した割合がある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)