伊之助いのすけ)” の例文
そうおもって見ると、金兵衛の家には美濃の大井から迎えた伊之助いのすけという養子ができ、九太夫の家にはすでに九郎兵衛くろべえという後継あとつぎがある。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
長「え、伊之助いのすけさんと云う一人子息ひとりむすこい若旦那でさア、若旦那に済みません事でもございますか」
それから二番番頭の伊之助いのすけさん、時松ときまつさん、丁稚でっち、小僧さんから若い衆まで、一人も家を空けた者がないとは堅いことだね、いや大店のしつけはさすがに恐れ入ったものだ、——ところで
斯う庭のおも見詰みつめますと、生垣の外に頬被ほゝかぶりをした男がたゝずんでる様子、能々よく/\透かして見ますると、飽かぬ別れをいたしたる恋人、伊之助いのすけさんではないかと思ったから、高褄たかづまをとって庭下駄を履き
半蔵は会所の方へ隣家の伊之助いのすけその他の宿役人を集めて相談する前に、まず自分の家へかよって来る清助と二人でその通知を読んで見た。各村とも三千から三千五百把ずつの松明を用意せよとある。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「大根畑の左官の伊之助いのすけ親方を御存じでしょう」