他所他所よそよそ)” の例文
風景にしてもくづれかかつた街だとか、その街にしても他所他所よそよそしい表通よりもどこかしたしみのある
檸檬 (旧字旧仮名) / 梶井基次郎(著)
「葉子! お前はなんでこのごろそう他所他所よそよそしくしていなければならんのだ。え?」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
第一、彼奴あいつはツイこの頃就職して来やがったんだろう。それから、あんなに慣れ慣れしく俺達に近寄って来やがった癖に、あの事件からのち、急に俺達と他所他所よそよそしくし初めただろう。
オンチ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
討ったのだ、——そうとも知らず、同じ町内に住みながら今まで他所他所よそよそしくしていた俺は何としたことだ、——お礼どのは、俺には腹異はらがわりの妹だったのか、知らなかった、知らなかった
ふと、敵意をもった他所他所よそよそしさが感ぜられた。
石狩川 (新字新仮名) / 本庄陸男(著)
あのひとは、妾と近しくなりたいために、お兄さんと心安くしていらっしゃるのよ。あのひとがお兄さんを見送っている眼と唇に気をつけていると、トテモ他所他所よそよそしい冷めたさを含んでいるのよ。
二重心臓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
他所他所よそよそしいのはあなたじゃありませんか」
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
「私と許嫁の披露があってからも、菊次郎さんの遊びが止まなかったので、私もつい白い歯も見せず、親しい気持になれなかったので、だんだん他所他所よそよそしくなるばかり、それからの菊次郎さんの放埒は本当に目に余りました」