仁左衛門にざえもん)” の例文
翌春はぎから博多はかたへ渡って薩藩亡命北条右門だの、平野国臣ひらのくにおみだの同志と逢い、帰京後京都の山口薫次郎、小泉仁左衛門にざえもん、松坂屋清兵衛、大和の豪家村島長兵衛父子
志士と経済 (新字新仮名) / 服部之総(著)
下町のいきと云われる茶屋の板前に感心して見たり、仁左衛門にざえもん鴈治郎がんじろうの技巧を賞美したり、べて在り来たりの都会の歓楽を受け入れるには、あまり心がすさんでいた。
秘密 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
席亭せきていへも以前はさんなど好きでよく行きましたが、近頃は少しも参りません。芝居は仕事の関係上、月に二つ三つはかかしませんが、男優では、仁左衛門にざえもん鴈次郎がんじろうが好きなようです。
茶臼山より庚申堂こうしんどうに備えたる真田勢を一気に斬り崩し、左衛門尉幸村をば西尾仁左衛門にざえもん討ち取り、御宿越前みしゅくえちぜんをば野本右近うこん討ち取り、逃ぐる城兵の後を慕うて、仙波口より黒門へ押入り旗を立て
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
現今いまの左団次の伯父さんの中村寿三郎じゅさぶろうや、吉右衛門きちえもんのお父さんの時蔵や、昨年死んだ仁左衛門にざえもん我当がとうのころや、現今いまの仁左衛門のお父さんの我童がどうや、猿之助えんのすけのお父さんの右田作うたさく時代、みんな、芸も
矢田の百姓で仁左衛門にざえもんと申すものの口から出たということ。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)