人道じんどう)” の例文
「君は、この寒い山の中で裸の娘をいつまでも裸でほうっておくのか。それは人道じんどうに反するじゃないか。早く服を探してやらないのか」
超人間X号 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それでもに落ちないお延の顔を見た時には、急に談話の調子を高尚にして、人道じんどうまで云々した。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼の自動車で上野の広小路ひろこうじまで往って、そこから電車へ乗るつもりで降りたがまた例の病気が起って、夜店の古本がのぞきたくなったので、切通きりどおしへ寄った方の人道じんどうへと往った。
妖影 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「それはあまりに利己主義りこしゅぎだ、おさない人たちを先に救うのは、人道じんどうじゃないか」
少年連盟 (新字新仮名) / 佐藤紅緑(著)
人道じんどうには、豆粒まめつぶのような人が、ゾロゾロと歩いています。
電人M (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
その街路とおりは右の方へ半町はんちょうばかり往くと三叉路さんさろになって、左は暗いたらたらおりの街路とおりになり、右は電車の停留場前になって、すこしの間ではあるが人道じんどうと車道の区別をした広い街路とおりには
女の怪異 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「むちゃをするな、傷をしているのに、繃帯をとるなんて、人道じんどうにはんする」
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
奴さんは恐れて、螺旋形らせんけいの階段を走りおりて街路とおりへでたのだ、そして、奴さんの意識は朦朧もうろうとなってしまったさ、奴さんは人道じんどう車道しゃどうも区別なしに歩いていると、荷物かもつ自動車がやって来たさ
雨夜草紙 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)