京童きやうわらべ)” の例文
お針の亭主が縫殿頭ぬひのかみ山井庸仙やまゐようせん老が典薬頭、売卜の岩洲友当いはずともあて陰陽おんやう博士はかせになるといふ騒ぎ、たゞ暦日博士だけにはなれる者が無かつたと、京童きやうわらべが云つたらしい珍談が残つてゐる。
平将門 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
兎角京童きやうわらべ口善悪くちさがなき、飛んだ迷惑をするものも出来いできたれる次第なるが、これも一つは「人生」といふ字の意義の誤解され易きに因せし者なれば、無暗に敵になり味方になる事なく
人生の意義 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
京童きやうわらべにさへ「何ぢや。この鼻赤めが」と、罵られてゐる彼である。色のさめた水干に、指貫さしぬきをつけて、飼主のない尨犬むくいぬのやうに、朱雀大路をうろついて歩く、憐む可き、孤独な彼である。
芋粥 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)