亡妻なきつま)” の例文
というのは、八十助の恋女房の露子が、この春かりそめの患いからポツンと死んでしまったため、彼は亡妻なきつまを争った敵手のことなんかいよいよ忘れてしまったのである。
火葬国風景 (新字新仮名) / 海野十三(著)
死んだ児の泣き声——亡妻なきつまのうらめしげな顔——火の車、地獄、鬼、赤い火、青い火。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身にむや亡妻なきつまくしねやに踏む
俳人蕪村 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
武邊の君は亡妻なきつま
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ぞっとして、うしろを振返った——亡妻なきつまの顔が——血みどろになって——黒髪のあいだから怨みの眼を光らせて、自分の襟元へ、青白い手を伸ばしてきそうな心地が幾度もするのだった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
身にむや亡妻なきつまくしねや
俳人蕪村 (新字新仮名) / 正岡子規(著)