乞食ものごい)” の例文
「あッハッハッハッ。……いずれは野良犬か、狐か狸か、乞食ものごいなどが食べてしまうのでございましょうが、とにかくお斎は毎日綺麗になくなります」
鸚鵡蔵代首伝説 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
乞食ものごいをしてもきて行けないかもしれないと覚って、と言って、黄金に対する火のような煩悩は断ち切れない。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
僧形そうぎょうの雲水、結綿ゆいわたの娘、ろうたけたる貴女、魔に似たる兇漢、遊女、博徒ばくと、不具者、覆面の武士、腕のない浪人、刺青ほりもののある百姓、虚無僧、乞食ものごい鮓箱すしばこをかついだ男、等、等
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どこへ行っても志を得ず、乞食ものごいとまで零落したが、捨た子のことが気にかかり、はるばる光善寺まで辿って来た時、今度の運命に遭遇したのである。
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
六十余り七十にもなろうか、どこか気高い容貌をした老年としより乞食ものごいが樓門の前で、さも長閑のどかそうに居眠っていた。
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
「罪もない乞食ものごいの老人を、鎗玉の犠牲にしましたこと、決してよい気持は致しませぬ」
郷介法師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
乞食ものごいにならなければならなかった。
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)