久里くり)” の例文
東海道浦賀うらが宿しゅく久里くりはまの沖合いに、黒船のおびただしく現われたといううわさが伝わって来たのも、村ではこの雨乞いの最中である。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
過ぐる嘉永かえい六年の夏に、東海道浦賀の宿、久里くりはまの沖合いにあらわれたもの——その黒船の形を変えたものは、下田しもだへも着き、横浜へも着き
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
彼が浦賀うらが久里くりはまに到着したころは、ちょうどヨーロッパ勢力の東方に進出する十九世紀のなかばに当たる。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
浦賀奉行とペリイとの久里くりはまでの会見がそれから開始された。海岸に幕を張り、弓矢、鉄砲を用意し、五千人からの護衛の武士が出て万一の場合にそなえた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
開港か、攘夷か。それは四そうの黒船が浦賀の久里くりはまの沖合いにあらわれてから以来の問題である。国の上下をあげてどれほど深刻な動揺と狼狽ろうばいと混乱とを経験して来たかしれない問題である。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)