“久原(くはら)” の例文
そんな名剣も貧乏神だけは何(ど)うにも出来ないものと見えて、犬養氏は最近和田維(つな)四郎(らう)氏の取持(とりもち)で、所蔵の刀剣全部を根こそぎ久原(くはら)家へ売渡す事に定(き)めた。
... 其蔵儲は今悉皆(しつかい)久原(くはら)家の有に帰し居候。」按ずるに初編の「四月」は恐くは再三版であらう。藤陰は六月発兌の二編を、早くも五月末日に贖ひ得たのである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
たとえば久原(くはら)に比ぶれば渋沢(しぶさわ)は貧乏人であり、渋沢に比ぶれば河上(かわかみ)は貧乏人であるというの類である。
貧乏物語 (新字新仮名) / 河上肇(著)
やがて桟橋を離れて大海原に浮(うか)むと又(また)涼風が膚(はだえ)にしみて寒い位(くらい)である。私は臥床(ねどこ)にはいる。朝七時半起床。もう佐田(さた)の岬がそこに見え、九州の佐賀関の久原(くはら)の製煉所の煙突を見る所まで来ている。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)