上申じょうしん)” の例文
「たびたび御書面をもって、上申じょうしんつかまつりましたとおり、司馬しば先生生前より、妻恋坂の道場に容易ならぬ陰謀がありまして——」
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
だから、彼が都の省院(司法省)へ差出した裁決を乞うための上申じょうしんには、その同情と手加減が多分にめられていたのはいうまでもない。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
座長「はい。全員賛成と認めます。では本件はすぐに上申じょうしんし実行に移すよう努力いたします。委員長としてマスネー博士を指名いたします」
諜報中継局 (新字新仮名) / 海野十三(著)
それを家康に上申じょうしんするつもりであったが、家康が思案中だというから、家康の思案なら自分の考えと同じところへ落ちる筈だと呑みこみよろしく引下ったのだという。
家康 (新字新仮名) / 坂口安吾(著)
それは大王に上申じょうしんするためであるということは後に分ったです。後に残って居る将校の方々はチベット及び日本の兵士の習慣、意気、軍紀等についていろいろの事を問いましたがそれは略します。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
「ば、ば、馬鹿」と看守はあわてて呶鳴どなった。「おれが見ても判らん。上申じょうしんしてやるから一両日待っとれッ」
柿色の紙風船 (新字新仮名) / 海野十三(著)
なに、それは、足利尊氏が上申じょうしんして、道誉の戦功をつよく主張し、その実現に努めた結果にほかならない。
上申じょうしんの書などを一べんするに、汝は元来、宋家そうけ代々の重恩をうけたる家柄の身でありながら、昨年、帝の御命ぎょめいにて、西湖石せいこいしの運搬にあたった折には、途中、船を難破させたのみか
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
八代将軍吉宗よしむねの時代から設けられた一つの制度で、百姓、町人、僧侶、神官、誰でもかまわぬ、何か治政上についての得失利害、役人の奸曲かんきょく、奉行の圧政など、上申じょうしんしたいことがあったら
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「昨夜のてんまつ。まだ逐一は上申じょうしんの早馬もしていないが」
私本太平記:01 あしかが帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その由は、すぐ信長の耳へ上申じょうしんされる。信長は
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)