上淫じょういん)” の例文
徳川どのは、下淫げいんを好むたちと聞くが、前に申したようなせいか、わしは上淫じょういんを好むほうだ。……茶々を愛するのも、その意味といえよう
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
総じて貴人というものは、上淫じょういんたしなむのです。そなた二人は、にじとだに雲の上にかける思いと——いう、恋歌を御存じか。そのとおり、王侯のきさきさえも、犯したいと思うのが性情ならいなのじゃ。
紅毛傾城 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
かれが、上淫じょういんを好んだのも、良風良俗のうちにはぐくまれた子女には、おのずから、優雅な香気があるからであった。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この桧垣ひがきの家を中心に、上皇は下淫げいんを愛し、かれは上淫じょういん妄執もうしゅうしていたかたちだった。朝に夕につけまわし、覚然はついに悪僧の本領をあらわして、暴力による思いをとげてしまった。