上履うはぐつ)” の例文
四時半にはモウ共立病院の室々に洋燈ランプの光が華やぎ出して、上履うはぐつの辷る程拭込んだ廊下には食事の報知しらせの拍子木が輕い反響を起して響き渡つた。
病院の窓 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
淡紅色ときいろ紋絽もんろ長襦袢ながじゆばんすそ上履うはぐつあゆみゆる匂零にほひこぼして、絹足袋きぬたびの雪に嫋々たわわなる山茶花さざんかの開く心地す。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)