三橋みはし)” の例文
仲御徒町三丁目は上野広小路三橋みはしより少しく南に下った処から東に入って、俚俗摩利支天りぞくまりしてん横町を行尽し、鉄道線路をえたあたりである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
どやどやどや、がら/\と……大袈裟おほげさではない、廣小路ひろこうぢなんぞでは一時いつとき十四五臺じふしごだい取卷とりまいた。三橋みはし鴈鍋がんなべ達磨汁粉だるまじるこくさき眞黒まつくろあまる。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
四入青梅よついりおうめの小さい紋の付きました羽織を着て、茶献上の帯を締め、ずか/\と飛出とびでて来て、三橋みはしの角で出会いました。
松と藤芸妓の替紋 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
二階の窓際近くに席を占めた自分達は、花で飾られた低いヴァーズを前に、広々した三橋みはしの通りを見下した。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
すると、そこを離れた三橋みはしかどでは、やっと、お綱のはやり立つのを抱きとめていた万吉が
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
三橋みはしのところで乗り物をすてながら、さっさと伽藍がらんわきの僧房へやって行くと、案内の請い方というものがまたなんともかともいいようもなく古風のうえに、いいようもなく大前でした。
そういえば三人とも、三橋みはしの田楽屋で飲んでいたものか、少し酒気をおびているふうだ。泣き叫ぶお獅子の姉弟きょうだいを軽々と引っさげて、なおも何か問いつめるつもりなのであろう。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)