万獣ばんじゅう)” の例文
さん豺狼さいろう麋鹿びろくおそれ従はぬものとてなかりしかば、虎はますます猛威をたくましうして、自ら金眸きんぼう大王と名乗り、数多あまた獣類けものを眼下に見下みくだして、一山万獣ばんじゅうの君とはなりけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
今御身が相を見るに、世にもまれなる名犬にして、しかも力量ちから万獣ばんじゅうひいでたるが、遠からずして、抜群の功名あらん。某この年月としつき数多あまたの獣に逢ひたれども、御身が如きはかつて知らず。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)