一花ひとはな)” の例文
「いや、これから一花ひとはなと言いたいところだろう、どうだい、思いきって、花の都住居をしてみる気はないか」
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「御主人、先刻さきほどから御容子を伺うに、どうやら世の常の木樵衆とも見受けられぬ、以前は一花ひとはな咲かした侍衆が、よくよくの仔細あっての山住いと睨んだが、いかがじゃ」
轆轤首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
垣根かきねの朝顔やう/\小さく咲きて、昨日今日がくれに一花ひとはなみゆるも、そのはじめの事おもはれて哀れなるに、松虫すゞ虫いつしかなきよわりて、朝日まちとりて竈馬こほろぎ果敢はかなげに声する、小溝こみぞはし
あきあはせ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)