一当ひとあ)” の例文
旧字:一當
残りし一人ひとりが又々抜刀ぬきみを取直し、「無礼なやつ」と打掛る下を潜って一当ひとあて当てますと、やにめた蛇のように身体を反らせてしまいました。
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
「稲葉山の斎藤義龍よしたつどの、にわかに病んで死んだという密報がはいったのだ。そこで嘘かまことか、小当りに一当ひとあせてみよというので、にわかな出陣なのだ」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「はるかに、山また山を越えてきた佐々の軍勢。おそらくは、まだ、瀬ぶみ程度で、真の備えは、取れていまい。——一当ひとあて、当てて、かれの攻勢を試してみん」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「魏延、一手を引いて、桃葉の渡口わたしを見てこい。ただ一当ひとあてして、彼の勢いを測ってくればよいぞ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)