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ひとばらい
抽斎は
忽ち
剥啄の声を聞いた。
仲間が
誰何すると、某貴人の
使だといった。抽斎は引見した。来たのは三人の
侍である。内密に
旨を伝えたいから、
人払をしてもらいたいという。
応接所の戸をぴんと閉めて、
人払の上
立籠れるは深川綾子と怪しき
婦人。
処で、今度、隅田川
両岸の
人払、いや人よせをして、
件の陣羽織、菊綴、
葵紋服の
扮装で、拝見ものの博士を伴ひ、弓矢を
日置流に
手ばさんで
静々と
練出した。飛びも、立ちもすれば
射取られう。