“なえなえ”の漢字の書き方と例文
語句割合
萎々100.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
目口にそそぐ浪を払い払いする手が、乱れた乳のあたりに萎々なえなえとなると、ひとつ寝の枕に、つんとねたように、砂のふすまに肩をかえて、包みたそうに蓑の片袖を横顔にと引いた姿態なり
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
清水の向畠むこうはたのくずれ土手へ、萎々なえなえとなって腰をいた。前刻のおんなは、勿論の事、もう居ない。が、まだいくらほどの時もたぬと見えて、人の来てむものも、菜を洗うものもなかったのである。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
羽にともれたように灯影が映る時、八十年やそとしにも近かろう、しわびたおきなの、彫刻また絵画の面より、頬のやや円いのが、萎々なえなえとした禰宜ねぎいでたちで、蚊脛かずねを絞り、鹿革の古ぼけた大きな燧打袋ひうちぶくろを腰に提げ
貝の穴に河童の居る事 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)