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かしたま
貸給へと云けれども三郎兵衞更に承知せず外の話に
紛して取合ざれば四郎右衞門も大いに
腹を
立此ほど事を
譯て頼むに恩を
幸ひ
麓の往來へ
罷出一當あてんと
存ずるなり就ては御手下を我等に
暫時貸給へ
一手柄顯はし申さんと云ふ大膳
斯と聞て左京殿に我手を
貸はいと易けれど此大雪では
旅人も
尾羽を
惡からず思ひ
毎夜此處へ
通ひお竹が手引にて
逢せしが
此隣に兩替屋の伊勢屋三郎兵衞と云者有り或夜
子刻頃に表の戸を叩きて
旅僧なるが一夜の宿を
貸給へと云ふを
番頭目を
覺し旅人を