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駈
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か
ふりがな文庫
“
駈
(
か
)” の例文
坂を
駈
(
か
)
けおりるのを! そら、自動車に
轢
(
ひ
)
かれそうになりました! 白はもう命の助かりたさに夢中になっているのかも知れません。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
佐吉
(
さきち
)
は、そのそばに
駈
(
か
)
け
寄
(
よ
)
ってみますと、かごの
中
(
なか
)
には、
名
(
な
)
も
知
(
し
)
らないような
小鳥
(
ことり
)
がはいっていて、それがいい
声
(
ごえ
)
でないていました。
酔っぱらい星
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
女の人数を聞いたりする客を
胡散
(
うさん
)
臭いと見るのは当り前だ。
駈
(
か
)
け出しの刑事みたいだが、気のきいた風紀係はそんな
科白
(
せりふ
)
は吐かない。
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
通路で、房枝が向こうから
駈
(
か
)
けてきて、その足のわるい青年に、こえをかけた。曾呂利本馬という妙な名が、その青年の
芸名
(
げいめい
)
だった。
爆薬の花籠
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
火事
(
くわじ
)
をみて、
火事
(
くわじ
)
のことを、あゝ
火事
(
くわじ
)
が
行
(
ゆ
)
く、
火事
(
くわじ
)
が
行
(
ゆ
)
く、と
叫
(
さけ
)
ぶなり。
彌次馬
(
やじうま
)
が
駈
(
か
)
けながら、
互
(
たがひ
)
に
聲
(
こゑ
)
を
合
(
あ
)
はせて、
左
(
ひだり
)
、
左
(
ひだり
)
、
左
(
ひだり
)
、
左
(
ひだり
)
。
寸情風土記
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
その声をきくと、首領を縛りつけておいてさてどうしたものかと相談してゐた海賊たちは、いちどに立上つて、
駈
(
か
)
けつけてきました。
金の猫の鬼
(新字旧仮名)
/
豊島与志雄
(著)
これだけ見てくれば、同志の前に面目の立たぬようなこともあるまい。そう思って、彼はまた
駈
(
か
)
けだすようにして林町の宿へ帰った。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
あの日、雪子と悦子とが大急ぎで突堤へ
駈
(
か
)
け付けると、シュトルツ父子はもうさっきから甲板に出て待ち
焦
(
こが
)
れていたところであった。
細雪:02 中巻
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
他の誰のところへ行ったよりも安心だとは思いながら、春日夫妻のところへ
駈
(
か
)
けこんで行ったことを思うと、やっぱり心配であった。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
若い女が、キャッと声を立てて、バタバタと、
草履
(
ぞうり
)
を
蹴
(
け
)
とばして、楽屋の入口の間へ
駈
(
か
)
けこんだが、身を縮めて壁にくっついていると
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
「
嫌
(
や
)
だ、やだ! お父さんは一人で行け。俺は里へ遊びに行く!」と言つて京内はドン/\と、
山路
(
やまみち
)
を
麓
(
ふもと
)
の方へ
駈
(
か
)
けて行きました。
熊と猪
(新字旧仮名)
/
沖野岩三郎
(著)
犬は、ぱつと
駈
(
か
)
けだして逃げる、と思ひのほか、同じ場所に首を
垂
(
た
)
れてじつとしてゐるのでした。鳥右ヱ門は
拍子
(
ひやうし
)
ぬけがしました。
鳥右ヱ門諸国をめぐる
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
それを聞いた哀れな街子は、人の影へかくれるようにしながら、
家
(
うち
)
の方へ
駈
(
か
)
け出しました。それが街子の最初の
悲
(
かなし
)
みでありました。
最初の悲哀
(新字新仮名)
/
竹久夢二
(著)
そのくせこの連中の蟇口の中のお金にはみんなそれぞれ脚が
生
(
は
)
えて我先にとびだし
駈
(
か
)
け去るシクミだから、まことに天下はままならぬ。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
と大型の名刺を投げるようにして、くれて、そのままこれも木立のかなたへ
駈
(
か
)
け去ってしまった。まことに夢のような一時だった。
地図にない街
(新字新仮名)
/
橋本五郎
(著)
つづく砂浜の路を、彼は一散に
駈
(
か
)
けつけて行った。彼らがつくったシップの部落には、目を閉じていても辿りつくほど
馴
(
な
)
れていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
仰ぎ見る彼等は、流るゝ雲に引きずられてやゝもすれば
駈
(
か
)
け出しそうになる足を
踏
(
ふ
)
みしめ踏みしめ立って居なければならなかった。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
そこでは、
家畜
(
かちく
)
たちがちょうど
野原
(
のはら
)
にいるのとおなじように、すきなように草をたべたり、遊んだり、
駈
(
か
)
けまわったりしています。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
お時が自働電話へ
駈
(
か
)
けつけて津田の返事を持って来る間、二人はなお対座した。そうして彼女の帰りを待ち受ける時間を談話で
繋
(
つな
)
いだ。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供は丁度ラシャの靴をはいてチヨコ/\と
駈
(
か
)
け歩くやうになつてゐたが、孤独な詩人のためには唯一の友であり兄弟であつた。
哀しき父
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
小學校歸りの兒童が五人八人ぐらゐづつ
一塊
(
ひとかたまり
)
になつて來て、二人の姿をヂロヂロ見やつては、不思議さうな顏をして
駈
(
か
)
け去つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
寺の門前でしばらく何かを言い争っていた五六人の中から、二人の男が
駈
(
か
)
け出して、井の
端
(
はた
)
に来て、石の井筒に手をかけて中をのぞいた。
阿部一族
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
その年の
師走
(
しわす
)
の十三日、おせきの
家
(
うち
)
で
煤掃
(
すすはき
)
をしてゐると、神明前の親類の店から小僧が
駈
(
か
)
けて来て、おばあさんが急病で倒れたと
報
(
しら
)
せた。
影を踏まれた女:近代異妖編
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
昭和二年
(
しようわにねん
)
、
大噴火
(
だいふんか
)
をなしたときも
噴火口
(
ふんかこう
)
から
流
(
なが
)
れ
出
(
で
)
る
鎔岩
(
ようがん
)
が、
恰
(
あだか
)
も
溪水
(
たにみづ
)
の
流
(
なが
)
れのように
一瀉千里
(
いつしやせんり
)
の
勢
(
いきほひ
)
を
以
(
もつ
)
て
駈
(
か
)
け
下
(
くだ
)
つたのである。
火山の話
(旧字旧仮名)
/
今村明恒
(著)
屋上には、たいてい初冬の荒い風がひとりで
居丈高
(
いたけだか
)
に
駈
(
か
)
けめぐっていたが、閑静でもあったし、晴れた日には日当りがよかった。
煙突
(新字新仮名)
/
山川方夫
(著)
尤
(
もっと
)
も真面目な話の最中に彼女がいきなり突拍子もなく笑い出したり、家へ
駈
(
か
)
け込んでしまったりするような場合もあったけれど。
イオーヌィチ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
どうするだろうと思って見ていると、ドロシイはちょっとその傾斜を見て首をかしげていたが、いきなりそこを
駈
(
か
)
け下りてきた。
恢復期
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
慌
(
あわ
)
てふためいた老人は、何を考える暇もなく、いきなり
閂
(
かんぬき
)
をはずして板戸をひらき、火焔を
揉
(
も
)
み消すために、室内に
駈
(
か
)
け込んだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
斯くて鳥の地に落ちたる時は、捕鳥者は直ちに其塲に
駈
(
か
)
け
付
(
つ
)
け獲物を
抑
(
おさ
)
へ
紐
(
ひも
)
を
解
(
と
)
くなり。石鏃と
違
(
ちが
)
ひて此道具は幾度にても用ゐる事を得。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
或時書生さんがお勝手まで
駈
(
か
)
けて来て、真赤な顔をして、
頻
(
しき
)
りに
嚔
(
くさめ
)
をして苦しそうなので、「どうなすったの」と聞きましたら
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
仮初
(
かりそめ
)
にも人に
疵
(
きず
)
を付ける
了簡
(
りょうけん
)
はないから、
唯
(
ただ
)
一生懸命に
駈
(
か
)
けて、堂島五丁目の
奥平
(
おくだいら
)
の倉屋敷に
飛込
(
とびこん
)
でホット
呼吸
(
いき
)
をした事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
と、
駈
(
か
)
けよりざま、
雷喝
(
らいかつ
)
一
声
(
せい
)
、闇からうなりをよんだ一
条
(
じょう
)
の
鉄杖
(
てつじょう
)
が、ブーンと釣瓶もろとも、影武者のひとりをただ一
撃
(
げき
)
にはね飛ばした。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
韋駄天は天のはてからどし/\
駈
(
か
)
けてきて、爺の目のまへにぴつたり立ちふさがりました。爺はとぢてゐた目を
一寸
(
ちよつと
)
ばかり開いて見ました。
天童
(新字旧仮名)
/
土田耕平
(著)
……夜間、警報が出ると、清二は大概、事務所へ
駈
(
か
)
けつけて来た。警報が出てから五分もたたない頃、表の呼鈴が
烈
(
はげ
)
しく鳴る。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
で、師匠の
気息
(
いき
)
を引き取られると、直ぐにその番頭さんが
駈
(
か
)
け附けて参り、間もなく
報
(
しら
)
せによって
彼
(
か
)
の高橋定次郎氏も駈けつけて参られた。
幕末維新懐古談:28 東雲師逝去のこと
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
両手で尻を叩きながら、爺さんは慌てて裏庭へ
駈
(
か
)
けだして行った。なにか不服なことがある時、両手で尻を叩くのは爺さんの癖なのである。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
あちこち
駈
(
か
)
け
廻
(
まわ
)
り枠なぞを倒し、紙の張りある板何枚かをひっくり返して、その一枚を画架に載せ、箪笥を引開け、チョオクの入れある箱を
家常茶飯 附・現代思想
(新字新仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
おつぎは
默
(
だま
)
つて
草履
(
ざうり
)
を
脱棄
(
ぬぎす
)
てゝ
座敷
(
ざしき
)
へ
駈
(
か
)
けあがつて、
戸棚
(
とだな
)
から
小
(
ちひ
)
さな
古
(
ふる
)
い
新聞紙
(
しんぶんし
)
の
袋
(
ふくろ
)
を
探
(
さが
)
し
出
(
だ
)
して、
自分
(
じぶん
)
の
手
(
て
)
の
平
(
ひら
)
へ
少
(
すこ
)
し
砂糖
(
さたう
)
をつまみ
出
(
だ
)
して
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
車掌が
革包
(
かばん
)
を小脇に押えながら、帽子を
阿弥陀
(
あみだ
)
に汗をふきふき
駈
(
か
)
け戻って来て、「お気の毒様ですがお乗りかえの方はお降りを願います。」
深川の唄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
躊躇
(
ためら
)
っていたらしい静子が、信一郎の顔を見ると、
艶然
(
にっこり
)
と笑って、はち切れそうな
嬉
(
うれ
)
しさを抑えて、いそ/\と
駈
(
か
)
け降りて来るのであった。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
見ていた父も母も小作人の妻も、その方へ
駈
(
か
)
け寄って行きました。今でも息詰まるようなその一瞬間を、青年は忘れることができないのです。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
山西は石垣の上を右に左に
駈
(
か
)
け歩いて、今に女の姿が見えるか見えるかと、水の
面
(
おもて
)
を
覗
(
のぞ
)
きながら両手を腰にやって
兵子帯
(
へこおび
)
を解き解きしていた。
水魔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
「御免」という挨拶だけを彼に残して、矢部は星だけがきらきら輝いた真暗なおもてへ
駈
(
か
)
け出すように出て行ってしまった。
親子
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
それから舟を着けると、女は男の側へ
駈
(
か
)
け付けて、
背後
(
うしろ
)
から男の目隠しをして、「さあ
誰
(
たれ
)
だか当てて御覧なさい」と云った。
みれん
(新字新仮名)
/
アルツール・シュニッツレル
(著)
野猪
(
ゐのしゝ
)
は
形
(
かたち
)
が
豚
(
ぶた
)
に
似
(
に
)
て
全身
(
ぜんしん
)
黒褐色
(
こつかつしよく
)
のあらい
毛
(
け
)
でおほはれてをり、
頸
(
くび
)
が
短
(
みじか
)
いので
駈
(
か
)
けだすと
急
(
きゆう
)
には
方向
(
ほうこう
)
を
變
(
か
)
へられない
動物
(
どうぶつ
)
です。
森林と樹木と動物
(旧字旧仮名)
/
本多静六
(著)
矢田平の
立
(
たて
)
、長いのでは有名な方なるを、
訥子
(
とつし
)
の勤むることなれば、見ぬ方大だすかりなり。宋蘇卿の最期に
駈
(
か
)
け
附
(
つ
)
くる所も騒がしきだけなり。
両座の「山門」評
(新字旧仮名)
/
三木竹二
(著)
僕たちが研究室へ飛びこむと同時に、廊下のドアから、顔面
蒼白
(
そうはく
)
の鰐博士が
駈
(
か
)
けこんで来、あとから黒い影が二つ、風のやうに押しこんで来た。
わが心の女
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
やがて荒っぽい足音がきこえると、縁側から二階の
梯子段
(
はしごだん
)
へむかっていたたまれぬように
駈
(
か
)
けあがってゆく後姿が見えた。
冬枯れ
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
愛
(
あい
)
ちやんはこれを
見
(
み
)
て
哄笑
(
おほわらひ
)
しました、しかし
其聲
(
そのこゑ
)
を
聞
(
き
)
きつけられては
大變
(
たいへん
)
だと
思
(
おも
)
つて
急
(
いそ
)
いで
復
(
ま
)
た
森
(
もり
)
の
中
(
なか
)
へ
駈
(
か
)
け
戻
(
もど
)
りました。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
追っ
駈
(
か
)
けて
攫
(
つか
)
まえることも出来ない。お前さんはただ獲ものの出て来るのを、澄まして待っているのね。いつでもこの隅のところに坐っていてさ。
一人舞台
(新字新仮名)
/
アウグスト・ストリンドベリ
(著)
駈
漢検準1級
部首:⾺
15画
“駈”を含む語句
追駈
駈出
駈込
駈廻
駈競
駈落
駈寄
駈着
先駈
駈來
駈引
駈上
駈付
駈来
疾駈
野駈
抜駈
駈歩
駈拔
駈行
...