赤鬼あかおに)” の例文
頼光らいこうむすめなぐさめて、おしえられたとおり行きますと、なるほど大きないかめしいてつもんこうにえて、黒鬼くろおに赤鬼あかおにばんをしていました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
いづれまよつてゐるとおもひますとね、閻魔堂えんまだうで、羽目はめかげがちらり/\と青鬼あをおに赤鬼あかおにのまはりへうつるのが、なんですか、ひよろ/\としろをんなが。……
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
むかしの人は、うそをつくと死んでから赤鬼あかおにに、したべろをくぎぬきでひっこぬかれるといったものです。うそをついてはなりません。さあ、わかった人は手をあげて。
一年生たちとひよめ (新字新仮名) / 新美南吉(著)
一口に勝者という者の中にも一番強い者を相手にした者は一番えらい勝者である。また同じくてきと称する者の中にも種類が数多あまたある。強きもあれば弱きもある。赤鬼あかおにもいれば青鬼あおおにもおろう。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
目鼻めはなだちよりかみのかゝり、ならびのところまでたとはおろ毋樣はゝさまそのまゝのうまれつき、奧樣おくさま父御てゝごといひしは赤鬼あかおにらうとて、十ねん以前まへまではものすごいひからせておはしたるものなれど
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
するともなくそこへ、一じょうにもあまろうという大きな赤鬼あかおにが、かみ逆立さかだてて、おさらのような目をぎょろぎょろさせながらました。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
もっと一方いっぽうは、そんなふうに——よし、村のものの目からは青鬼あおおに赤鬼あかおにでも——ちょうの飛ぶのも帆艇ヨットかと見ゆるばかり、海水浴にひらけているが、右の方は昔ながらの山のなり真黒まっくろ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それではこの川をまたずんずんのぼっておいでになりますと、てつもんがあって、もん両脇りょうわき黒鬼くろおに赤鬼あかおにばんをしています。
大江山 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
何んですかねえ、十文字に小児こども引背負ひっしょって跣足はだし歩行あるいている、四十恰好かっこうの、巌乗がんじょうな、絵にいた、赤鬼あかおにと言った形のもののように、今こうやってお話をしますうちも考えられます。
春昼後刻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あお着物きもの赤鬼あかおにもいました。あか着物きもの黒鬼くろおにもいました。それが山猫やまねこのようにきらきらひかかりをさきてて、どやどやりてくるのです。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
入相いりあいの浪も物凄ものすごくなりかけた折からなり、あの、赤鬼あかおに青鬼あおおになるものが、かよわい人を冥土めいど引立ひきたててくようで、思いなしか、引挟ひきはさまれた御新姐ごしんぞは、何んとなく物寂ものさびしい、こころよからぬ
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なるほど、はなしいたとおり、夜中よなかになると、なんにんとなくあお着物きもの赤鬼あかおにや、あか着物きもの黒鬼くろおにが、てんの目のようにきらきらひかかりをつけて、がやがやいいながらてきました。
瘤とり (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
忿怒ふんぬ面相めんさう、しかしあつてたけからず、大閻魔だいえんままをすより、くちをくわつと、唐辛子たうがらしいた關羽くわんうてゐる。したがつて古色蒼然こしよくさうぜんたる脇立わきだち青鬼あをおに赤鬼あかおにも、蛇矛じやぼう長槍ちやうさう張飛ちやうひ趙雲てううんがいのないことはない。
深川浅景 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)