“日(び)” の例文
「ええ、でもねミサ子さん、自転車なんて、きょう日(び)は、買うに買えないでしょ。もしも買えるとしても、ふところが承知(しょうち)しない」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
ところが昔ながらのわがロシヤの国では、村道づたいに二十五里も馬車を走らせるとなると、きょう日(び)だってそう手っとり早くはいかない。
一年(ねん)に、一度(ど)待(ま)たれた休(やす)み日(び)ですから、娘(むすめ)たちは、着飾(きかざ)って、きゃっきゃっといって、友(とも)だちの家(うち)などを歩(ある)きまわりました。
愛は不思議なもの (新字新仮名) / 小川未明(著)
「ほんま言うたら、六十円でもやって行かれしまへんネん。子供(がき)が二人も居よりまんネん。きょう日(び)物が高(たこ)おまっさかいな」
青春の逆説 (新字新仮名) / 織田作之助(著)
ルイだのと呼(よ)ばれる名前の人たちの数はおびただしいもので、したがってそういう祝(いわ)い日(び)には、花たばやら花びんを買って
手廻しのいい家は月初めに片付けてしまうが、もう数(かぞ)え日(び)という二十日過ぎになってトントンバタバタと埃(ほこり)を掃き立てている家がたくさんある。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「俺(お)らいつそもの日(び)なんざ無(ね)え方(はう)がえゝ、さうでせえなけりや出(で)てえた思(おも)はねえから」おつぎは熟(つく/″\)呟(つぶや)くことがあつた。
土 (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
でもね、人間てものは、どうやらこうやらお飯(まんま)がいただけて、それできょう日(び)がすごしていけりゃあア、それでいいってもんじゃありませんからね。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
歌(うた)がうまくても まずくても、そんなことはかまいません。ともかく、はりねずみは、たのしい日(にち)よう日(び)の朝(あさ)には、いつも きまって、歌(うた)をうたうのです。
左右に杉(すぎ)や橡(とち)の林のもれ日(び)を見て、その長い石段を登って行くだけでも、なんとなく訪(おとな)うものの心を澄ませる。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
寒いとも暑いともさらに感じなく過ごして来た葉子は、雨が襟脚(えりあし)に落ちたので初めて寒いと思った。関東に時々襲って来る時ならぬ冷え日(び)でその日もあったらしい。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
午前中のその時刻の光線の具合(ぐあい)で、木洩(こも)れ日(び)がまるで地肌(じはだ)を豹(ひょう)の皮のように美しくしている、その小さな坂を、ややもすると滑(すべ)りそうな足つきで昇ってゆくその背の高い
美しい村 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)
而(しか)も、その暗記(あんき)の仕方(しかた)といふのが、先(ま)づ日光(につくわう)の中(なか)で、次(つぎ)は曇(くも)り日(び)、次(つぎ)は夕方(ゆふがた)、次(つぎ)は電燈(でんとう)、結局(けつきよく)最後(さいご)に蝋燭(らふそく)の光(ひかり)の中(なか)でといふ風(ふう)に明暗(めいあん)の順序(じゆんじよ)を追(お)つて眼(め)を慣(な)らしながら研究(けんきう)暗記(あんき)し
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
「田賣らうにも、値(ね)が下(さ)がつてるし、第一けふ日(び)は不景氣で買ひ手があろまい。」
「鱧の皮 他五篇」解説 (旧字旧仮名) / 宇野浩二(著)
「田賣らうにも、價(ね)が下がつてるし、第一けふ日(び)は不景氣で買手があろまい。」
太政官 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
きょう日(び)とちがって、和服の着流しがまだまだ多かったころである。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
まれまれに椎の葉にもつたまり日(び)も照りはかへさず冷(ひ)えまさるらし
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
それは看護婦にとって意外な儲(もう)け日(び)であった。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
くもり日(び)の顔に映る 大空の窗(まど)の薔薇の花。
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
數(かぞ)へ日(び)のこころ細(ぼそ)さや
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
隣家(となりや)の秀夫(ひでお)くんのお父(とう)さんは、お役所(やくしょ)の休(やす)み日(び)に、外(そと)へ出(で)て子供(こども)たちといっしょにたこを上(あ)げて、愉快(ゆかい)そうだったのです。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
アッケンのお父さんは、においあらせいとうの季節(きせつ)がすむと、七月、八月の祝(いわ)い日(び)の用意にせっせとかかっていた。
きのふも一昨日(をとゝひ)も仕事を休んでゐたのですけれど、もう數(かぞ)へ日(び)になつて來て、お出入先から毎日の催促があるので、今日はたうとう朝から仕事に出て行つたんですよ。
俳諧師 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
「きょう日(び)のように、なんでもかでもヤミヤミと、学校のカバンまでヤミじゃあ、こまりますな」
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
秋(あき)の、ある日(にち)よう日(び)の 朝(あさ)のことでした。ちょうど、そばの花がまっさかりでした。
「おらあまあ獨りで心配なんだよ。眠つても眠れねえことがとろつ日(び)だよ」
芋掘り (旧字旧仮名) / 長塚節(著)
まれまれに椎の葉にもつたまり日(び)も照りはかへさず冷(ひ)えまさるらし
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
しろくわらふ秋のつめたいくもり日(び)に
藍色の蟇 (新字旧仮名) / 大手拓次(著)
新甞(にひなめ)の祭(まつ)り日(び)なりき
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
このごろ、いつもお休(やす)み日(び)の朝(あさ)には、小鳥(ことり)の鳴(な)き声(ごえ)が放送(ほうそう)されたからです。しかし、その声(こえ)は、お隣(となり)の庭(にわ)の方(ほう)からきこえてくるような気(き)がしました。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
「もう大抵判っているんだから、きょうはこのくらいにしておこう。おめえも数(かぞ)え日(び)にここでいつまでも納涼(すず)んでもいられめえ。家へ帰って嬶(かかあ)が熨斗餅(のしもち)を切る手伝いでもしてやれ」
半七捕物帳:17 三河万歳 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
一つの花を売ってしまうとほかの花を売り出す仕度をしなければならなかった。セン・ピエールだの、セン・マリだの、セン・ルイだの、そういう年じゅうの祝(いわ)い日(び)にはおびただしい花が町へ出る。
短(みじ)か日(び)の光つめたき笹の葉に雨さゐさゐと降りいでにけり
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
都(みやこ)おほ路(ぢ)も數(かぞ)へ日(び)に
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫、薄田淳介(著)
少年(しょうねん)は思(おも)わず、故郷(こきょう)の方(ほう)を振(ふ)り返(かえ)りました。青空(あおぞら)遠(とお)く雲(くも)は流(なが)れていて、もとよりその方角(ほうがく)すらたしかでなかったが、曇(くも)り日(び)がつづき、冷(つめ)たい雪(ゆき)が降(ふ)っていることと思(おも)われました。
薬売りの少年 (新字新仮名) / 小川未明(著)
師走(しわす)もだんだんに数(かぞ)え日(び)に迫ったので、混雑もまた予想以上である。
綺堂むかし語り (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
たよるすべなき孤兒(みなしご)のけふ日(び)の寒さ、身のつらさ
思ひ出:抒情小曲集 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
少年(しょうねん)は、天使(てんし)が、いよいよ大空(おおぞら)に上(のぼ)ってしまったのだろうと思(おも)いました。それから、つぎの休(やす)み日(び)に凍(こお)った雪(ゆき)の上(うえ)を渡(わた)っていくと、林(はやし)の中(なか)に赤(あか)い帽子(ぼうし)が一つ落(お)ちていたのであります。
町の天使 (新字新仮名) / 小川未明(著)
一心に網うつは安からぬけふ日(び)の惑(まど)ひ。
畑の祭 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
「もう数(かぞ)え日(び)だ」
半七捕物帳:03 勘平の死 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
麗(うら)ら日(び)を、君も行くかよ、杖あげて
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)