年前ねんまえ)” の例文
ってのとおり、あたしゃどうやら人気にんきて、世間様せけんさまからなんのかのと、いわれているけれど、こころはやっぱり十年前ねんまえもおなじこと。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
それは、ちょうどいく年前ねんまえむすめ時分じぶんには、おそらく、こんなになんでも、はっきりとうつったのであろうと、おばあさんにおもわれたほどです。
月夜と眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あるいはヴォッカをんでいるものもあろう、病院びょういん事業じぎょうすべて二十年前ねんまえすこしもかわらぬ。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
年前ねんまえみずうみのそばで少女おとめがしたように、あしずりをしてくやしがりましたが、かわいらしい白いとり姿すがたは、てしれない大空おおぞらのどこかにかくれてしまって、てんあいだには、いくえにもいくえにも
白い鳥 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「五、六年前ねんまえも、このまちのはずれをながれているかわ金色こんじきうおたものがあるそうだ。」と、へいがいいました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
どうぞ辛抱しんぼうして、話相手はなしあいてになっておくんなさいまし、——あたしゃ、王子おうじそだった十年前ねんまえも、お見世みせかようきょうこのごろも、こころ毛筋程けすじほどかわりはござんせぬ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「そうだ。ちょうどもう二年前ねんまえになるな。わたしはその徐州じょしゅう進軍しんぐんする、れつなかはいっていたのだ。みんなここへおすわり。そのときのことをはなしてあげよう。」
村へ帰った傷兵 (新字新仮名) / 小川未明(著)
きちちゃん。おかみさんや、ほかの人達ひとたちにおねがいして、あたしがたった一人ひとり、おまえ枕許まくらもとのこしてもらったのは、十年前ねんまえの、飯事遊ままごとあそびが、わすれられないからでござんす。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
このはなしかれた、先生せんせいには、五、六年前ねんまえのいじらしいかれ姿すがたおもしてか、なみだひかっていました。
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちちはもう三、四年前ねんまえくなりました。」とこたえた。これをいた旅人たびびとは、どんなにおどろいたでしょう。
般若の面 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「二、三年前ねんまえにおとうさんがんだのだそうだ。しかし、やさしい、いいおかあさんらしいのだよ。」
生きぬく力 (新字新仮名) / 小川未明(著)
かれは、この黄昏方たそがれがたに、じっとさかずきをって、見入みいりながら、利助りすけというような名人めいじんが百年前ねんまえむかし、このなか存在そんざいしていたことについて、とりとめのない空想くうそうから
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あかはたのなびいていると、ああ、それはここからたいへんとおみなみくにでありますよ。わたしが、たしかに見覚みおぼえがあります。しかし、そのまちぎたのは、三年前ねんまえでした。」と、薬売くすりうりはこたえました。
金の魚 (新字新仮名) / 小川未明(著)
父親ちちおやは二年前ねんまえに、うみりょうかけたきりかえってきませんでした。その当座とうざ、たいへんにうみれて、難船なんせんおおかったといいますから、きっと父親ちちおやも、そのなかはいっているのだろうとかなしみなげきました。
ろうそくと貝がら (新字新仮名) / 小川未明(著)
もう、五、六年前ねんまえのことであります。
僕のかきの木 (新字新仮名) / 小川未明(著)