おづし)” の例文
それから又一段上つて、云はば内陣ともあるべき幅一間程の細長い板の間の奥におづしがある。千手観世音が祀つてあるのだ。彼は何と云ふ考もなしに、ふらふらと縁に上つた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)
やがておづしの前に近よつた。太い格子戸の戸が左右から引かれて、太鼓錠がとぼその真中に下つて居る。彼は手さぐりに戸前とまへの処を撫でて見た。冷たい鉄の錠がひやりと彼の指先にさはつた。
夜烏 (新字旧仮名) / 平出修(著)